◎経営スクランブル
レントラックス
厳しい審査で質の高いメディアをネットワーク化し高収益体質を実現
クローズド型ASP事業のリーディングカンパニー
東証グロース上場のレントラックスは、アフィリエイト広告事業をメインで手掛ける企業である。アフィリエイト広告とは、ホームページや個人ブログなどに掲載した広告を閲覧者がクリックし、オンラインショップでの購入や見積もり請求、会員登録等何らかの成果が発生した時点で広告料が発生する成果型のインターネット広告のこと。広告を出稿する企業からメディアを運営する企業に広告料が支払われ、その一部を手数料としてレントラックスが得るビジネスモデルだ(図表1)。2005年に設立された同社の特長について、金子英司会長は次のように話す。
「国内でアフィリエイト事業で上場している会社は複数ありますが、それらの会社と当社の最大の違いは、クローズド型のアフィリエイトサービスを提供していることです。通常は、広告を掲載したい広告主様と、広告収入を得たいメディア様を広く募集しマッチングするオーブン型のビジネスモデルが主流ですが、当社の展開しているクローズ型のサービスでは、独自の審査基準に基づき当社が認めたメディア様のみをネットワーク化し広告主様に提案しています(図表2)。初期費用などの固定費がかからない完全成功報酬型のモデルを打ち出したのも、当時は画期的でした」
黎明(れいめい)期にはアフィリエイト収入を目的とした個人によるブログが無数に立ち上がった。その質は玉石混交で、信頼性に疑問符がつくものも少なくなかったという。そこで同社は、「どのメディアに掲載されるか分からない」という不安を抱えていた広告主に寄り添う形で、信頼性の高いメディアを独自審査でネットワーク化したのである。
審査は公序良俗に反していないという大原則はもちろん、薬機法や景品表示法などに準拠しているかなどを詳細にチェック。厳しい審査を経た良質なメディアだけを取り扱っているので、成果報酬の金額が同業他社に比べ高めに設定できている。こうした信頼性の高さは往々にして口コミで評判が高まるが、同社ネットワークも例外ではない。「ユーザー数は右肩上がりで増え続け、現在掲載メディア様の数は約6万社、ウェブサイト数約60万サイト、広告主様は約5000社に達しています」(金子会長)
国内のアフィリエイト事業の次に売り上げ規模の大きいのが、海外の広告事業である。ベトナム、インドネシア、台湾などを中心に海外13拠点に進出、クローズド型ASP事業の先駆者として業績を伸ばし続けている。
「若者人口の伸びが著しく、親日国も多い東南アジアは、インフルエンサーを中心にSNSを使ったマーケティングの市場が非常に成長している地域です。そうした流れに乗って当社でも、国内で培ったクローズド型のモデルをインフルエンサーにあてはめて展開しています。当社はVチューバー事業も手掛けていますが、インドネシアではシェア3位の事務所にまで成長しました」(金子会長)
金子英司会長
業 種 | アフィリエイトサービスプロバイダー事業、インターネットメディア事業など |
設 立 | 2005年12月 |
所在地 | 東京都江戸川区西葛西5-2-3 NEXTAGE西葛西5F |
売上高 | 32億9500万円(2024年3月期) |
社員数 | グループ全体で196名(海外勤務者含む、2023年3月末現在) |
利用システム | FX4クラウド、eCA-DRIVER |
単なるマッチングではなく、質の高いサービスの実現を目指している同社において、営業スタッフの役割は大きい。そのため人間性を高めることを目的とした研修や、理念の共有のための機会が数多く設けられている。例えば毎日実施している朝礼では、経営理念や経営方針などを全員で唱和。著名経営者の書籍などを読んだ感想や意見などを発表し合う。3カ月に一度のペースで各部門・階層ごとの研修合宿を実施し、経営理念に合致するような人間性を高めるためにはどのようにしたらよいか徹底的に話しあう。
「当社は『インターネットを駆使し、人々に適切な情報を提供し、便利さを提供する』という経営理念をはじめ、経営方針、信念・責任感・謙虚さ・マッハスピード・実行力の『五カ条』、『十五則』(図表3)などのフィロソフィーを大切にした社員教育にかなり時間をかけています」
営業スキルより人間性を磨くことを優先させる教育方針は、リピート率向上につながる具体的な行動を生み出す。例えば全社員が常時確認している社内ポータルサイトでは、顧客の誕生日や子供の誕生などの情報を一覧で共有。記念日に花を送るなど顧客とのより良いコミュニケーション構築に努めている。
社内制度もユニークだ。AからZまで、アルファベットごとに独自の福利厚生制度が整備されているのである。たとえばNのネイル制度では、契約するネイリストが月に2、3日来社し会社負担でネイルを施術している。また社内でプロによるマッサージが受けられるマッサージ制度(M)、業務時間中に美容院を利用した場合に月5000円まで支給する美容院制度(B)、パーソナルトレーナーによるマンツーマンの筋力トレーニングを社内で行えるジム制度(G)などその数は合計26にのぼり、社員のリフレッシュや自己研鑽(けんさん)、モチベーション向上につながっているという。
実は金子会長と椙尾幸介取締役管理本部長はかつてTKCに同期として勤務していた。レントラックス設立後は税理士法人クリアパートナーズの指導のもとTKC方式の自計化と月次決算を実践。同じく同期の山本賢志税理士・公認会計士は、同社の社外監査役を務めている。
グループ子会社を含めTKCの『FX4クラウド』を導入し、銀行や信販会社との取引データを自動受信し仕訳ルールを学習したうえで仕訳入力をサポートする「銀行信販データ受信機能」、エクセルで作成した仕訳ファイルから直接『FX4クラウド』に仕訳を計上できる「エクセルからの仕訳計上機能」などで経理業務の効率化を推進。また『FX4クラウド』のデータを使用したオリジナル帳表がエクセルで簡単に作れる「マネジメントレポート(MR)設計ツール」は監査資料の作成に大きく役立っている。さらに同社は、2021年から連結会計システム『eCA-DRIVER』を導入。グループ子会社・支店数が国内外で18を数え、より早く正確な連結会計処理の実現を目指している。
メインのインターネット広告領域のほかにも、グループ子会社を通じ戦略的に事業の多角化を進めている。筆頭は中古の建設機械・農業機械の売買サイトの運営だ。日本製の建設機械は東南アジアやアラビア諸国で旺盛な需要が続いており、ビジネスチャンスと見込んだ。
「建設業者などから仕入れた4万車以上の機械をネットに掲載し、問い合わせのあった海外企業に販売する『GROWTH POWER』を運営しています。日本製の建機・農機は10年落ち、20年落ちの中古車でも人気が高く、フィリピンや台湾、アラブ首長国連邦など販売先は30カ国以上にのぼります。性能向上で最近人気が高まっている中国メーカーの新車の取り扱いもはじめるなど事業を拡大中で、売り上げ規模はまだ10億円程度ですが、さらなる成長を目指し上場も検討しています」(金子会長)
また大手電機メーカー出身の社員が入社したのをきっかけに、美容家電事業にも参入。自社ブランド「BLACKRAVE(ブラックレイブ)」として急速に市場での認知度を高めつつある。
約6000億円規模といわれる成果報酬型インターネット広告の国内市場は、毎年10%の成長が継続する見込み。金子会長は、急成長中のオンライン診療の分野など有望ジャンルへの取り組みを強化するなどし、24年3月期で258億5000万円の取扱高を、26年に500億円、31年に1000億円に伸ばす目標を掲げている。
「国内での基盤をさらに固め、東南アジアでの飛躍を足掛かりに、将来的に欧米市場にも打って出たいと考えています。世界規模で戦える広告会社への成長を実現したいですね」